はじめに
高校生活最後の夏休み、せっかくなので大阪を楽しみつつ四国に渡ってサンライズに乗る計画を立てました
そんな旅行最終日の5日目の8月4日、岡山から瀬戸大橋を渡って香川県は高松へ。
もともとはここ高松から高徳線・徳島線・土讃線を廻る計画だったのですが、高松駅にこんなものが貼ってありました
津島ノ宮駅臨時開設のお知らせ。
そういえば日本一営業日数の少ない駅として有名だったよな~...なんてことを思っていたら、開設日の日付に記されていたのは8月4日と5日。
...あれ、今日って確か8月の4日...
え、今日津島ノ宮開いてるの!?
驚くべきことに旅行最終日の今日8月4日は、年に2日しかない津島ノ宮駅が開設される日でした。
うん、もうこれは行くしかないよね。ということで停車していた7200系の快速サンポート南風リレー号に乗車してその津島ノ宮駅を目指すことにしました
津島ノ宮駅へ
高松発車。車内放送では「本日この列車は津島ノ宮駅に臨時停車します」との放送。
1年365日のうちたった2日しか聞けない放送を聞くことができました。
高松を出たときは、そこそこ空いていたものの、途中端岡、坂出、宇多津と停車していくうちに、車内は大混雑。都会の通勤電車のような形相になりました。
そんな混雑する車内は鉄オタ2割、一般利用客2割、参拝者と思しき人6割といった感じです。参拝客と思しき人の中には、子供を抱っこしている人や、ベビーカーで乗っている人たちもいました。
「まもなく、津島ノ宮、津島ノ宮です。電車とホームの間が広く開いています。足元にご注意ください」
という放送を聞きながら津島ノ宮到着。電車とホームの間が広く開いているそうですが、首都圏の駅でも広く開いている場所はいくつもあるので、それくらいかな~と思いながら駅に着きました。
......ハイ?
いやこれ...開いているというレベルではないでしょ。という第一印象。
改めてみてみても段差がすごいです。軽く見積もっても列車とホームの隙間は20センチ、段差については40~50センチはあります。いやはや、これが駅...なのか
そして先述の通り、車内には子連れが多かったわけで、その中にはベビーカーを使って乗っている人もいます。
...この人たちどうすんの、という疑問がよぎりました。
結論から言えば、写真にもあるようにホーム上に立ったおじちゃんたちが、数人がかりで列車からホーム上に下ろしていました。
ベビーカーでなくとも、子供たちにとっては大きな段差であり危険なので、ホーム上に下ろすのを手助けしていました。
当時18だった私にとっても、列車の乗り降りという感覚はもはやこの駅にはなく、「飛び乗り飛び降り」という言葉が似合うように思いました。降りるときに「足元にご注意ください」って言われてなかったら絶対コケてカメラのレンズ割ってました。ありがとう...おじちゃん
当然ながら、列車は定刻に出発できるはずもなく、3分ほど遅れて津島ノ宮を発車しました。
その後、ホーム上にある売店などを眺めていたら、特急列車が通過するとのことで、せっかくなので眺めてみることにしました。
列車通過に際しては、先ほど乗降の手助けをしていたおじちゃんたちがホームのキワに立って、注意喚起をしていました
そして、特急列車が車体傾斜を利かせながら時速100キロ程度で通過していきます。
最近の首都圏の駅は、JR、私鉄問わず転落事故対策として多くの駅にホームドアを整備していますが、ここ津島ノ宮駅では完全人力、人海戦術を駆使したのホームドアを採用しています。
なんというか、元祖ホームドアってこんな感じだったのかと感心したりしました
いやもうこれにはいろいろ驚かされます
とりあえずただホームに突っ立っているのもあれですし、例大祭ということでいろいろな出店で盛り上がっていると思うので、改札を抜けて津嶋神社の方面へ
津嶋神社について
さて、せっかくなので津嶋神社の簡単な概要について。
津嶋神社は、香川県の瀬戸内海に浮かぶ小島、津島にご祭神を祀っている神社です。
日本ではかなり珍しいとされる、子供の健康や成長の守り神としてここ津島に祀られています。またそれと同じく、牛馬の神としてもあがめられています。江戸時代の時代劇なんかで、田んぼを耕すのに牛を使っているシーンを見たことがある人が多いと思いますが、人間の生活においてなくてはならない生き物でした。まぁ今もマクド行く人にとってはなくてはならない生き物か...
ちなみに、津嶋神社の起こりは、かつてねずみ島(現在の津島)に、美しい声で歌を歌う女がいて、それを巫女が介して話したところ、「我は海中に住める神、名は津島神という。今よりこの島に鎮まるべし。」と語ったそうです。
...なろう系小説か(殴
とはいえ、当時はまだまだ神様を信仰することも生活の一部に組み込まれていたこと。とりあえず、それっぽいもの鳥居を立てて信仰してみました。するとある年に、牛馬が多く病気にかかり死んでしまったことがありました。しかし、この里では一頭も病気にかからなかったらしく、津島神は本物の神様らしいということで、あがめられるようになりました(以下、三豊市の観光案内ページより引用)
そんなわけで、年に3日、津島神を崇めるために例大祭として開催されるようになりました
そして、この例大祭が開催される日のみ橋を渡って津島に渡って参拝することが可能です。
ちなみに噂では、この津島は疫病を封じ込めるための島だから、あまり上陸しない方がよいためといううわさもあります...
まぁ詳細は別の方のブログを当たってください(おいこら)
また景色も美しく、四国の江ノ島と言われていたりします。
...こっちの方が本家より絶対きれいだろ
ちなみに、この橋を別名しあわせ橋と言い、この橋を渡ると、子供・若いカップル・夫婦に幸せが訪れるとされているそうです。
...え、ボッチは?
ちなみに今回は時間の都合でしあわせ橋を渡ることはできませんでした。次来た時は誰かしら誘っていきます(今回も例のK.T.氏がついてきてたけど())
津島ノ宮駅について
そしてこの津島ノ宮駅についても解説
駅ができたのは1915年のこと、もともと1913年に予讃線は観音寺まで伸びていたのですが、当時の最寄り駅はお隣の詫間駅。しかしこの詫間駅から津島神社までは3キロ近くあるため、アクセスにはかなり不便でした。
そこで、神社のすぐ近くを走ることから、臨時駅として1915年の5月に開設されたのが始まりです
もともと例大祭は、旧暦の6月に執り行われていたため、新暦換算では5月に開催されていたのでした。1970年に新暦にする際には、学校の夏休みの期間に重なるようにと8月の3、4、5の3日間に移動したそうです。
そんなわけで開業した津島ノ宮駅、当時は客車列車が主体で、客車にはステップが設けられていて低いホームからでも乗り降りができるようになっていました。当時の規格で言えば、760ミリの高さを持つホームが通常とされていました。ちなみにこのステップは、旧型の気動車なんかでは今でも見ることができます
時代は飛んで国鉄が粉砕玉砕大喝采もとい分割民営化した1987年。予讃線の電化に伴い、ここ津島ノ宮駅に停車する車両も、今までのステップを搭載している気動車や客車列車から電車に切り替えられます。
その電車というのは、線路上から1120ミリの場所に乗降用扉のある車両で、ステップはありません。そこで、ほかの駅ではホームのかさ上げを行い、電車に合わせたホームの高さに変更しました。
しかしこの津島ノ宮駅は、年に2日しか開かれない臨時駅。この駅のホームのかさ上げをしても、その効果が出るのかどうかは甚だ疑問です。
という訳で、ここ津島ノ宮駅では720ミリホームが現在でも採用されています。
ゆえに、あんな危険な段差が存在する構造になったんですね…
また、駅自体がカーブ上にあるのも危険さを助長させています。列車とホームが掠らないような構造になっている故、3ドア車では真ん中のドアがどうしても段差が大きくなってしまいます。またJR四国の稼ぎ頭である故、カーブの速達化(傾斜、カントを設置)を行った結果、さらに段差が大きくなってしまいました。
年に2日しか開かれない駅故、かなり昔の駅のまま残っている感じです
おわりに
本日8月4日、年に3日しかない津島大社の例大祭であると同時に、日本一営業日数の少ない津島ノ宮駅の開業日です
今年...は無理でも、来年は行ってみてはいかがでしょうか
首都圏からでも、寝台特急「サンライズ瀬戸」で坂出まで乗車したうえで、そこから普通列車で津島ノ宮駅を訪問することができます
子どもたちにとっても、旅するという経験を積ませておくのも大事ですし、そこで得らた縁は一生ものになります
是非、鉄道ファンの方も、そうでない方も、津島ノ宮駅に行ってみてはいかがでしょうか